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育ての心とは|倉橋惣三

倉橋 惣三|くらはし そうぞう
1882年(明治15年) - 1955年(昭和30年)
静岡で生まれ小学生のときに上京。
フレーベルに影響を受け、日本の保育や幼児教育の礎を築いた人物。
日本での“幼児教育の父”、“日本のフレーベル”と呼ばれている。
享年72歳。

 

今回は、

【育ての心】自ら育つものを育たせようとする心|倉橋惣三 - 子どもの今と未来をゆたかに

でも取り上げていた

「育ての心」の

 まえがきの一部を紹介します。

 

 自ら育つものを育たせようとする心、それが育ての心である。世にこんな楽しい心があろうか。それは明るい世界である。温かい世界である。育つものと育てるものとが、互いの結びつきに於て相楽しんでいる心である。


 育ての心。そこには何の強要もない。無理もない。育つものの偉(おお)きな力を信頼し、敬重して、その発達の途に遵(したが)うて発達を遂げしめようとする。役目でもなく、義務でもなく、誰の心にも動く真情である。


 しかも、この真情が最も深く動くのは親である。次いで幼き子等の教育者である。そこには抱く我が子の成育がある。日々に相触るる子等の生活がある。斯(こ)自ら育とうとするものを前にして、育てずしてはいられなくなる心、それが親と教育者の最も貴い育ての心である。


 それにしても、育ての心は相手を育てるばかりではない。それによって自分も育てられてゆくのである。我が子を育てて自ら育つ親、子等の心を育てて自らの心も育つ教育者。育ての心は子どものためばかりではない。親と教育者とを育てる心である。 

倉橋惣三『育ての心』より 

 

心が凛とするような力強い言葉の数々。

 

ここには、子どもには、自ら育つ力があり、自ら育とうとするという前提があります。

 

保育者は、その力が発揮できるような環境を構成したり、自らがその環境となります。

 

そして、自ら育つものを育たせようとする心は、子どもにとっての成長だけでなく、関わる大人をも育てる心であると。

 

強要も無理もなく、育つ子どもの大きな力を信頼し、尊重して、

発達によりそって発達を実現させる。

 

大人の都合を優先し、信頼や尊重が感じられない、集団や行動をコントロールすることを重視した保育になっていないか。

 

もしくは、優しさ風味で包んで、自分でも気づかぬうちに大人主体の保育を営んでいないか。

 

自分の、自分たちの保育の営みに常に問いを立てる。

 

目には見えにくいことだからこそ、誠実に向き合って、子どもにとって本当にいい保育を探究し、実践していきたいものです。

 

子どもは自ら育つ力を持っている。私たち保育者のあり方が問われています。

 

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育ての心〈下〉 (倉橋惣三文庫)

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